リクオと中川敬(ソウル・フラワー・ユニオン)による『うたのありか2013ツアー』、東京2デイズがZher the ZOO YOYOGIにて開催された。両日ともにゲストを交え、アコースティック楽器を基調としたライブが繰り広げられた。
初日。まずはリクオと中川敬の2人が「男はつらいよ」のテーマが流れるなか登場。ソウル・フラワー・ユニオンの「死ぬまで生きろ!」で始まったライブは、続いてリクオの「明日へゆく」と交互にヴォーカルをとって進む。
その後、それぞれのソロ・パートへ。中川はMCでジワジワと笑いを誘いつつも、曲が始まると涙腺を刺激し、心の底にある感情を喚起させる歌を聴かせる。浅川マキのカヴァー「少年」も披露。
初日のゲスト、くるりの岸田繁が登場し、アコギ1本でくるりの「虹」や民謡などを披露。
リクオは急遽岸田と一曲セッションを。キーだけを伝え音楽で会話するような演奏を聴かせ、初対面だったとは思えない息の合いっぷり。
三人のソロ・タイム後は、リクオと中川で数曲を。美空ひばり「愛燦燦」のカヴァーに聴き入り、リクオの「ミラクルマン」ではロックンロールなピアノに心躍った。
そして、再び三人によるリラックスした中にも刺激し合う空気が心地よい時間へ。くるりのライブでも披露されていないという「三日月」、来年2月にリリースされるというリクオの「ハッピー・デイズ」など、グイグイ引き込まれる曲が続き、そしてソウル・フラワーの「満月の夕」は、やはり格別。それでも生きるんだ!と、鼓舞されるような気持ちになった。さらに「アイノウタ」で会場一体となったグルーヴに包まれ、本編終了。
アンコールで再び登場した三人。どこかソウル・フラワー・ユニオンの影響が感じられる「宿はなし」を岸田が歌い、リクオの「光」からソウル・フラワー・ユニオンの「荒れ地にて」では思わず涙があふれた。
先輩・後輩という垣根を越え、お互いリスペクトし、仲むつまじくもあった三人。この日だけしか生まれなかった名演と歌が確かにあった。
二日目。まずはリクオと中川の二人によるソウル・フラワー・ユニオンの「ラヴィエベル~人生は素晴らしい!」からライブは始まる。前日に続き中川は人を食ったようなMCでフロアを沸かす。ユーモアの中にもシニカルさがあるから信用できる、僕にとって中川さんはそういう人だ。それは楽曲にも現れていて、この日も披露されたニューエスト・モデル時代の楽曲に特に顕著だ。ちなみにニューエスト時代の楽曲は「もぐらと祭」とボブ・ディランの日本詞カヴァー「嵐からの隠れ家」が披露された。
その後は各ソロ・パートへ。
まずは中川から。新しめの楽曲「世界はお前を待っている」や新曲などで感じられるのは、勇ましさの中にも切なさや郷愁が滲み出る感じ。年輪を重ねた分、説得力を増して響く。
そして、ゲストの直枝政広(カーネーション)が登場し、中川とソウル・フラワー・ユニオンのラブソングを共演。
直枝はカーネーションの名曲やトッド・ラングレンのカヴァーを狂おしいほどの歌声で聴かせる。この12月に30周年を迎えるカーネーション。12月に東名阪ツアーを開催し、12/18にはトリビュート盤もリリースされる。
直枝はリクオとも一曲セッションで「口笛吹いて」を披露。ピアノの絡み具合が絶妙だった。その後、リクオのソロ・パートへ。軽快でグルーヴィな楽曲の連発でホットな気持ちにさせてくれた。
その後、リクオと中川によるパートへ。ソウル・フラワー・ユニオンの最新作から「踊れ!踊らされる前に」などを。
そして、再び三人でのパートに突入。それぞれの楽曲をこの日だけの編成とヴァージョンで聴けるという贅沢な時間が過ぎていく。「海へゆく」から「アイノウタ」へと続く大きなグルーヴに身体と心を持っていかれたまま本編終了。
アンコールでは島倉千代子の「愛のさざなみ」のカヴァーを披露。元々、カーネーションは以前からレパートリーとしていた曲で、三人がこの日のリハーサルをやっていた11/8に訃報が飛び込んできたという。万感の想いを込めて直枝が歌う。その後、中川が「満月の夕」を、リクオが「光」を歌う。悠久に続く、生への希求を感じさせた。終演後はルー・リードの楽曲が流れていた。
ライブ後の打ち上げも含め、二日間に渡る贅沢で濃厚な夜は過ぎていった。リクオ&中川のツアーは11月末まで続き、各地で大盛況にて終えた。また来年も2人がツアーを行ってくれることを願い、それまではそれぞれのライブに足を運ぼうと思う。
今後の彼らのライブ予定は各WEBサイトをチェック!
リクオOFFICIAL SITE:http://www.rikuo.net/
ソウル・フラワー・ユニオンOFFICIAL SITE:http://www.breast.co.jp/soulflower/
(撮影:上野祥法 / 文:田代洋一)
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